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(解説) この『ANGIE』は、ローリングストーンズの話。ミックもキースもかっこいい。 ストーンズは、正統的な芸術派のビートルズと違って、汚れた世界と 美しい世界の、コントラスト(対比)が、うまく歌作りに取り込まれている グループだと思う。それが、また、リズム&ブルースというものなのだろうか。 400字原稿用紙、5枚の作品。
ANGIE ( 悲しみの アンジー )
世界最強のロックバンドといわれるローリング・ストーンズの バラードの名曲「悲しみのアンジー」は1973年8月20日に発売された。
Oh,Angie, oh,Angie When will those clouds All disappear Angie, Angie Where will it lead us from here
With no loving in our souls And no money in our coats You can’t say we’re satisfied But Angie, Angie You can’t say We never tried
( 和訳 ) アンジー、おお、アンジー、あの暗い雲は、いつになったら消えるのだろう
アンジー、おお、アンジー、俺たちは、ここからどこへ行けばいいのだろう
俺たちの心には、愛しあえるほどの愛はなく、ポケットにはお金もないさ
このままで、満足していられるなんて、ありえないよね
だけど アンジー、アンジー、 それでも 俺たちは 精一杯に 生きてきたんだ・・・
◇ ◇ ◇
ある日の午後であった。ロックバンドのローリングストーンズの ヴォーカリストとして名声も富を得たミック・ジャガーは、届(とど) いたばかりの1通のファンレターの、きれいな文字で書かれた 少女からの言葉に心を揺さぶられた。
ミック、こんにちわ!わたし、ミックの歌が大好きです。
ミックもキースもオシャレだし、セクシーだし、ワイルドで かっこいいわ!
ミックさあ、実は、わたしの友達が困っているの。
この不況で、その友達のお父さんが仕事をなくしてね、その子も 学校をやめなければならない状態なの。
ミックは、お金持ちなんでしょう、その子を助けてくれないかな。 言いにくいんだけど、やっぱり、お金が欲しいのよ。
わたしは、その子のために、思い切って、自分のからだで、お金を 作ろうと思っているの。でも、それは悪いことなんでしょう。
でも、友だちはもっと困っているのよ。友だちの不幸をなんとか 助けてあげたの。わたしは本当にどうしたらいいのか、わからない・・・。 どうしたらいいんだろう・・・。ミック、どうしたらいいの・・・。
その手紙には少女の 魂がこめられているようで、ミックの魂はふるえた。 涙があふれそうになった。
ミックは、書斎の窓を開けた。外の空気を吸った。午後の日差しは、 やけにまぶしかった。ミックは、健康酒として、毎日少量飲んでいる 薬草入りのコーヒー・リキュールを、グラスにいっぱいに注いで、 一気に3杯も飲み干した。それほどに、頭の中は、わけのわからない 悲しみや怒りで混乱していった。
(了) 2004年05月04日 11時54分02秒
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