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  沢蟹  手嶋純

 

 

 

 

小川で沢蟹を捕まえた。

 

鋏が宙に踊る。

 

指を挟まれた瞬間、

 

懐かしい痛みが蘇る。

 

 

 

僕は大人になった。

 

自ら望んだのではない!

 

親たちが大人に育てた!

 

僕の遺伝子は満足する。

 

 

 

沢蟹は生きることに

 

少しの疑問も持たない

 

子孫が生き残れば、

 

彼の遺伝子は満足する。