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    家路   たすく

 

 

日が落ちて

川沿いは薄闇の中

集合住宅の点々とした明かりがぼんやり届き

茅の白い穂波が浮き上がる

 

十一夜の月を

灰色の薄雲が時折覆うので

さっき見た待宵草を思い出す

 

蛾の黒い影が

眼前をかすめた

私は

向かい風を押し退けて

家路を急いだ