読めない本 海月みき
おじいちゃんが本を読んでほしいと手渡した
受け取ったのは仏さまの分厚い本
本のタイトルが読めない自分に唖然
見慣れた文字が並んでいるのに
組み合わせた文字たちは 日常会話に登場しない
ひらかなをのけ者にしたように
漢字たちが手に手をとって長い塀を作っている
おじいちゃんは思い出を追うように
光薄くなった目をとじて待ちわびている
ごめんね ごめんね
正しく懐かしく思い出を私の声で伝えたいから
日曜日まで時間をちょうだい おじいちゃん
これから心の支えなる仏道だと ふと漏らす
文字を追いつつ 何かが動いた 心が動く?
涙せずに朗読と決めたのに
ごめんね ごめんね 仏さま おじいちゃん
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