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  春の夕暮れは…       森下かほる

 

 

春の夕暮れは

どこまでも淡くて

満開の桜の色に

限りなく近い薄紅(うすくれない)

 

桜も霞みも夕暮れも

淡い春色に染まって

 

春はなんでこんなにも

やわらかな色重ねて

ふわりと景色を

ベールで包んでゆくのだろう

 

目覚めた想いは

まだはっきりと形を持たず

心の中でふわふわと漂う

 

春の淡い色に似て

はっきりとした色に染まらない

ゆらゆらと漂い

掴むことさえ出来なくて

 

こんなにも儚い夕暮れと

生まれたばかりこの想い

春はやわらかに包むだけ