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  夕暮れの幻想     森下かほる

 

 

見上げた夕暮れの空に

胸がときめく

やわらかなオレンジ色

重なる雲が金色に縁取る

 

迫り来る夕闇が

やがてその色を消しても

心の印画紙に

この胸のときめきと一緒に

深く焼きついて残るだろう

 

点滅し始めた街の灯りは

まだこの夕空の色に

紛れている

 

川の流れさえ

微かに夕空の色に

染まってる

 

ほんの一瞬の自然が見せる

息を呑むような情景は

幻想の世界へふっと

連れて行くような

危うい感覚に陥るね

 

日常の中の非日常を感じるには

立ち止まって気づくこと

こんな美しい夕暮れさえ

気づかない人ばかりだね

 

気づけた人だけが     

見ることが出来る幻想