先生に贈る言葉 てるり
先生 私はあのとき異端児だったのでしょうか あなたに会った時ですよ 異国からきた私に あなたは困った顔で笑っていました 私のせいだったのでしょうか
先生 知っていましたか? 私たちは利用されていたのです 異国の言葉が聞きたかったわけではなく 授業をやりたくなかっただけなのです
先生 あの時の生徒の目は 羨ましさでもなく嫉妬でもなく 好奇心だったのです 動物園でしか見ることのできない生き物を 見つめている目だったのです
先生 私は先生になることができる年に 先生にならないことを決めました いいえ 今でもあなたは私の支えの一つです 尊敬できる人もいました そんな人になりたいと思いました
先生 学ぶことは楽しかったですよ 嫌なことだってありました 分からないことは今でも理解できません それでも何かを得ていました
先生 放課後の教室に 鍵をかけなければならなくなった時 私には先生になれないと思ったのです
先生 いつから生徒を信用できなくなったのでしょう いつから生徒のことで学校や先生が 何か言われるようになったのでしょう 先生 教育を受けられない片側で 私たちの学校にはそのうち 金属探知機が設置されるかもしれないですね
先生 私には何も教えられません たとえ話がうまくとも たとえ勉強ができようとも たとえ私しか知らないことがあっても 私には教えられません なぜなら 彼らに学ぶ気がないからです 聞かない人に 何を教えられるとあなたは言いますか
先生 私には彼らの先には明かりが見えません 好奇心や思考 夢や期待や未来 想像力と悲しみがわかる心
先生 私はいまでも異端児ですか? 今会っても私には見えます 困った顔をして笑うあなたが 私は人に何かを教えたかった けれど 私に教えられることなどどこにもないのです 今も これからもです
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