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   記憶の中の君    てるり

 

 

もういないはずの君の姿が

僕の目には透明に映っては

僕に気付かずに

僕を通り抜けて消えてしまう

まるで捕まえたしゃぼん玉のように

 

何度も笑いかけた顔が

何度も話しかけた言葉が

何度も繰り返された会話が

糸の切れたあやつり人形のように

突然全部が止まった

 

時が流れても慣れないけれど

君を探すしぐさは

癖になりかけているけれど        

消えたのが僕じゃなくてよかったと

そう思えるようになったのは

君が

僕より若い君が

僕より長く

こんな空虚な思いをさせないですむと

思ったからだろう

 

もういない君が

今日も夢に出て現実の悪夢をやわらげる

今日もいない君の

今日も捕まえられない君の       

面影を探して目をつぶるのだ…