妖しの森    森下かほる

 

 

こんなに月が

赤い夜は

月の光に誘われて

妖しの森へ迷い込む

 

人の心の奥にある

見えないものへの

恐れと敬意

それが妖しの森を

作り出す

 

赤い月が空に昇る時

人の心は何かに怯え

存在しないものが現れる

 

見えないものが見えるとき

それは心の苦しさが

知らずに助けを求めてる

 

妖しの森の住人に

自分の心に住む鬼を

退治してもらうそのために

心が見せる幻だから

妖しの森が見えるのは

きっと本当の鬼に

ならないためなのかも

 

心の叫びに気づかずに

赤い月も妖しの森も

見えない人が鬼になる

 

妖しの森が消えていく今

この世に鬼が

増えているのかも…